「築年数が古くなり、あちこちガタが来ている」
「空室が目立つようになり、家賃を下げないと決まらない」
「屋根や外壁の修繕見積もりを見たら、数百万円と言われて頭を抱えている」
大田区で長くアパート経営をされている大家さんから、最近このようなご相談を非常に多くいただきます。これまで、照明の工夫やスマートロックの導入など、知恵と工夫で空室対策を頑張ってこられた大家さんほど、建物の根本的な老朽化という壁にぶつかった際、「このまま多額の費用をかけて修繕すべきか、それとも手放すべきか」と深く悩まれる傾向にあります。
不動産投資において、物件の最後をどう締めくくるかという「出口戦略」は、これまでの利益を確定させる最も重要な決断です。今回は、築古アパートの分かれ道となる「修繕して持ち続ける」と「売却する」の2つの選択肢について、損をしないための具体的な判断基準を記載します。
1. 築古アパート経営に立ちはだかる「大規模修繕」の現実

築30年、40年を超えたアパートは、クロスや床の張り替えといった表面的なリフォームだけでは済まされなくなります。屋根の葺き替え、外壁塗装、給排水管の交換、階段や廊下など鉄骨部分の補強など、建物の構造に関わる「大規模修繕」の時期を迎えます。
大田区内の一般的な木造アパート(4〜6戸程度)であっても、外壁と屋根の修繕だけで300万〜500万円、水回りの配管まで手を入れれば1,000万円近い費用がかかることも珍しくありません。
ここで直面するのが、「その修繕費を回収するのに何年かかるのか?」というシビアな現実です。
例えば、500万円の修繕費をかけたとしても、家賃収入が月額20万円であれば、単純計算で回収までに2年以上かかります。しかも、修繕したからといって新築時のように家賃を大幅に上げられるわけではなく、「現在の家賃水準を維持する」または「空室を防ぐ」ための防衛的な投資になることがほとんどです。
2. 「修繕して持ち続ける」場合のメリット・デメリット
アパートを手放さず、修繕して経営を続ける選択肢について整理します。
【メリット】
継続的な家賃収入が得られる: 毎月のキャッシュフローが維持でき、生活費や老後資金の足しになります。
愛着のある土地・建物を残せる: 先代から受け継いだ土地や、長年手入れをしてきた物件に対する精神的な安心感があります。
【デメリット】
投資回収のリスク: 投じた修繕費を回収する前に、さらなる設備の故障や予期せぬトラブル(シロアリ被害や雨漏りなど)が発生し、追加費用がかかるリスクがあります。
家賃下落と空室リスクの継続: 建物が古くなるにつれ、競合物件との競争は激化します。修繕しても築年数というスペックは変わらないため、長期的な家賃下落圧力からは逃れられません。
この選択肢は、立地が極めて良く、修繕さえすれば確実に入居者が決まり、高い利回りを維持できる確証がある場合にのみ推奨されます。
3. 「売却する」場合のメリット・デメリット
一方、思い切ってアパートを売却し、現金化する選択肢はどうでしょうか。
【メリット】
まとまった現金が手に入る: 売却資金を老後の生活資金、ご自宅のリフォーム、あるいはより利回りが良く手のかからない新しい収益物件への「資産組み換え(買い替え)」に充てることができます。
賃貸経営のストレスから解放される: 空室の悩み、入居者同士のトラブル、設備故障のたびに鳴る管理会社からの電話、毎年の固定資産税の支払いなど、あらゆる重圧から解放されます。
将来の負債を断ち切る: 今後発生するであろう大規模な修繕費や、解体費用の負担を回避できます。
【デメリット】
毎月の家賃収入がなくなる: キャッシュフローが途絶えるため、資金計画の見直しが必要になります。
譲渡所得税がかかる場合がある: 売却によって利益(譲渡益)が出た場合、税金が発生します(ただし、所有期間が長期であれば税率は下がります)。
4. 損をしないための「4つの判断基準」
どちらを選ぶべきか迷った際は、以下の4つの基準で客観的にご自身の物件を評価してみてください。
① 修繕費用の「実質利回り」を計算する
これからかかる修繕見積もりの金額に対して、今後見込める年間家賃収入が何%に当たるかを計算します。もし、多額の修繕費をかけても実質利回りが数%にとどまるようであれば、その資金を別の金融商品や優良物件に投資した方が、安全かつ効率的に資産を増やせる可能性が高いです。
② 大田区における「土地の価値」を見極める
大田区は都心や羽田空港へのアクセスが良く、品川エリアの開発効果も波及しているため、土地としての需要が非常に高いエリアです。建物が古く収益性が低くても、更地にした場合の「土地の価値(資産価値)」が極めて高いケースが多々あります。「収益を生むアパート」としてではなく、「価値ある土地」として売却した方が、トータルの利益が大きくなることがあります。
③ 自身の年齢と「相続」の観点
大家さんご自身の年齢も重要な要素です。もし将来、お子様へ相続をお考えの場合、老朽化して空室のあるアパートを残すことは、実は「負の遺産」を押し付けることになりかねません。相続人は多額の修繕費や解体費を背負うことになり、遺産分割時にも「不動産は分けにくい」という理由で親族間のトラブルに発展しがちです。元気なうちに売却して現金化しておけば、1円単位で公平に分割でき、納税資金にも困りません。
④ 「入居者がいる状態」でも売却は可能か
「まだ何人か住んでいるから売れない」「立ち退き交渉が面倒」とお考えではないでしょうか。実は、入居者がいる状態(オーナーチェンジ)のままでも売却は十分に可能です。築古物件を専門に買い取り、自社でリノベーションや建て替えを行う不動産会社や投資家は多数存在します。立ち退き費用や解体費用を大家さんが負担することなく、そのままの状態で売却できる道を探るべきです。
5. 「ボロボロだから売れない」は大きな誤解
多くの方が「外壁も剥がれていて、空室だらけのボロボロのアパートなんて、誰も買わないだろう」と思い込み、無理をして修繕費を捻出しようとします。
しかし、不動産市場においては「現況有姿(そのままの状態)」で取引されることが日常的です。
購入する側(プロの業者や投資家)は、建物の古さを織り込んだ上で、「この土地なら新築の戸建てが2棟建つ」「リノベーションしてシェアハウスにすれば高利回りになる」といった独自のノウハウを持っています。大家さんがマイナスだと感じている建物の状態は、彼らにとっては大きな問題ではありません。
修繕にお金をかける前に、「いま、そのままの状態でいくらで売れるのか」という現在地(市場価値)を正確に把握することが、すべての出発点となります。
アパートの経営判断は、早ければ早いほど選択肢が広がります。空室がさらに増え、建物が傷みきってからでは、売却価格が大きく下落するか、最悪の場合は買い手がつかなくなるリスクもあります。「修繕するか、売却するか」のシミュレーションを行うには、まず大田区の不動産相場と最新の取引実例に基づいた正確な査定が必要です。
私たちは大家さんの大切な資産の「最善の出口」をご提案します。建物の状態が気になっていても、まずはそのままの状況をご相談ください。秘密厳守で、最適なプランを一緒に考えさせていただきます。



















